フォンダンショコラな恋人
倉橋は有言実行できる人だ。
分かってはいたけれど、実際に倉橋の手腕を見れば、頼りになる人なのだと改めて感じた。

そういえば、元町ヴィラにお食事に行ったなー……。

その時、ふと思い出す。
『それなりに鍛えているから』と腕をまくった倉橋の姿。
先程も、自然に荷物を持ってくれようとした。

「翠咲? 待たせた」
今日の倉橋は私服なのだ。
ポロシャツにチノパンという至ってスタンダードな格好なのだが、シンプルなだけにそのスタイルの良さは際立つ。

半袖から伸びるその腕は確かに……。
男の人だ。

「翠咲?」
「あのっ、荷物持ちます!」

男の人……なんだ……。

「悪い、じゃあかさばっているこれだけお願いしてもいいか? 外、暑かったか? 中で待っててもらえばよかったな。顔が赤いな。早めに帰るか」
「はい」

どうしよう!?男の人だった!
改めて男性なのだと意識すると、また急に鼓動が激しくなる。
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