フォンダンショコラな恋人
これって、いざ鎌倉ってこと!?
い……今更なんだけど、今日下着って大丈夫だったよね??

そんな翠咲にはお構いなしに、倉橋は歩いていく。
倉橋の自宅駅からほど近い、1LDKのマンションだった。

特にタワーマンションという訳でもなく、入口はオートロックではあるけれど、本当に比較的ごく普通のマンションだ。

「どうかした?」
「いえ、タワマンとかにお住まいかと思ったので……」

「どんなセレブだよ。うちはごく普通の家庭で、僕も弁護士としては駆け出しみたいなものだからね。まあ、こんなもんだよ」
散らかっているけど、どうぞ、とドアを開けられた部屋は″散らかっている″の定義を教えて欲しいくらいきちんとしている。

散らかっているのは、キッチンとダイニングを仕切っているカウンターの上に少し文書が置かれていることくらいだろう。

きちんとカーテンの引かれたリビング。
床にもチリ一つ落ちてはいない。

そういえば、廊下にお掃除ロボットがあっただろうか。
いかにも効率を優先する倉橋らしい。

倉橋はダイニングのカウンターキッチンのところに鍵を置いて、ガサガサとコンビニの袋をキッチンで整理している。
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