フォンダンショコラな恋人
その目は冷静で淡々としてるのかと思ったら熱を孕んでいて壮絶な色気があって、くらりとするほど蠱惑的で、いけないことをしているようにドキドキした。

そっと唇が重なっただけで、背中がぞくんとする。
「可愛い……感じる?」

目を合わせたまま頷くと、不思議と不安はなくなった。
ぞくぞくして気持ちいいのに、この人に委ねて大丈夫。絡まる視線はとても淫靡だと思うのに、不安はない。

それは翠咲だけが気持ちいいのじゃなくて、陽平も感じているということがその目線から伝わるからだ。
一緒でいいんだ。
緩く唇が何度も何度も重なる。

それだけでも、今まで感じたことのない快感に浮遊感にも似たような感覚があった。
キスだけでこんな風になったことはない。

「あ……」
もっと、もっとしてほしい。

つい、体を陽平に預けてしまう。陽平の目が嬉しそうに笑んだのが分かった。
それだって、こんな風に目線が絡まっているから分かることだ。

舌先で軽く唇をつつかれて、翠咲は唇を開ける。その中に、熱を持った舌が侵入してきて、翠咲の舌先を軽く舐める。

目を閉じたい。
けれど……陽平さんもキスで感じている。
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