フォンダンショコラな恋人
11.言葉の選び方は気をつけましょう
「ん……」
目が覚めた時、翠咲は自分が温かい人肌にくるまれているのを感じた。
身じろぎすると、さらにきゅっと抱き込まれる。

気持ちがよくて、翠咲はその人肌にすり……と抱きついた。
あったかーい……。

けれどその人肌がもぞもぞ動いて、翠咲の腰からお尻あたりにかけて手がすうっと動かされるとさすがに翠咲も、ん……と目が覚める。

「翠咲……? 起きた?」
「そんな風に触ったら、起きますけど」
「おはよ」

先ほどまで手が不埒な動きをしていたとは思えない爽やかな笑顔だ。その整った顔に翠咲はいつまでも慣れなくて、つい照れてしまう。

「おはよーございます」
「うん」
ふわりと笑う陽平は本当に綺麗なのだが、その手が翠咲のまろいカーブをずっと撫でている。

「陽平さん」
「んー」
「何してるの?」
「触ってる。翠咲ってふわっとしてて、柔らかくて触り心地がいい」

今、翠咲と陽平は向かい合っているので、陽平がその手を伸ばして翠咲のお尻に触れているこの状況ではそれから逃げようと思うと陽平にすり寄ることになる。
翠咲のその仕草に陽平はますます笑いを深めた。
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