フォンダンショコラな恋人
いや……あの、もうそれはすでに黒歴史というか、触れないでほしい。
「本当にごめんなさい」

「いや、実に正しい日本語だったなと思い返して笑っていたんだ」
「正しい日本語?」

「嫌いなのはそういうところ、で他は別に嫌いではないんだと認識している」
そう言われて、翠咲は真っ赤になってしまった。

確かにその通りなのだ。
顔が良いことは認めていた。

「僕は翠咲をすごく真面目で好ましいと思っていたけれど、それが一切伝わっていなくて、自分は上手くないんだと落ち込んだよ」

落ち込んだ?
「誰がですか?」
「入れてやろうか?」

完全に言葉の選び方がおかしいんですけど⁉︎

けれど陽平の不埒な手は翠咲の無防備なシャツの下から、直接肌に触れてくる。
陽平の触り方は、決して強くはない。

むしろ探るような優しいその触れ方は、なぜかとても背中がぞくぞくとしてしまうのだ。
焦らすように唆すように触れられて、つい翠咲は声が漏れてしまう。

「欲しくないの?」
「……ん」
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