フォンダンショコラな恋人
もどかしくてたまらないけれど、これが欲しいということなのかどうかは、翠咲には分からない。

「分……かんないよ。でも、もどかしい……」
「素直になりなさい。そうだな、可愛いから今日は許してあげる」

甘くて蕩けそうな声が耳を掠めて、きゅっと指を絡めるように手を握られた。
そして陽平の熱は、昨日の夜に引き続き翠咲を甘く翻弄したのだ。



翠咲がシャワーを浴びて陽平の気配がするキッチンに向かうと、カウンターにかわいらしいホットプレートが置かれていた。

「ホットプレート?」

つくづくイメージに合わない人だ。
「そう」
そこにちょうど、ピピピ……とキッチンタイマーの音がした。

一体何を作っているのだろうか?
陽平がホットプレートのフタを開けると、中にベージュの小山がいくつかある。

フタが開いたときに翠咲はその香りで分かった。
「ホットケーキだ!」
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