フォンダンショコラな恋人
『オッケ。サンキュ、さすが、頼りになるな』
「いいえ。いつでも連絡して。こんな時くらいしか、役に立てないし」
『いや。頼りになる同僚だよ』
「大丈夫?」
いつもは不必要なまでに元気な北条の声に、元気がないのが翠咲は気になった。
少し間が空いて、電話口から北条の落ち込んだような声が聞こえる。
『……ん。現地の代理店さん、自分も被災してるのにお客様のところを回るんだよ。俺が代わりに行きますって言ったんだけど、自分を信頼して掛けてもらってたから、って。頭が下がる……』
──ああ、それは……。
尊敬すべきプロフェッショナルはどこにでもいる。
それに触れた時、感動したり、頭が下がるような思いをすることは、翠咲にも分かるから。
「現地応援、初めてだった?」
翠咲は努めて柔らかい声を出す。
『うん。なんか、いつも翠咲が支払いのために頑張ってくれてるの、こういうところに来て初めて実感した。お前、すごいな』
「ううん。かわいそうって思っても、掛けてくれていないと役に立てない。それをしてくれてるのは隼人じゃない。俺の仕事が役に立ってる。こういう時役に立てるんだって、もっと誇りに思っていいよ」
「いいえ。いつでも連絡して。こんな時くらいしか、役に立てないし」
『いや。頼りになる同僚だよ』
「大丈夫?」
いつもは不必要なまでに元気な北条の声に、元気がないのが翠咲は気になった。
少し間が空いて、電話口から北条の落ち込んだような声が聞こえる。
『……ん。現地の代理店さん、自分も被災してるのにお客様のところを回るんだよ。俺が代わりに行きますって言ったんだけど、自分を信頼して掛けてもらってたから、って。頭が下がる……』
──ああ、それは……。
尊敬すべきプロフェッショナルはどこにでもいる。
それに触れた時、感動したり、頭が下がるような思いをすることは、翠咲にも分かるから。
「現地応援、初めてだった?」
翠咲は努めて柔らかい声を出す。
『うん。なんか、いつも翠咲が支払いのために頑張ってくれてるの、こういうところに来て初めて実感した。お前、すごいな』
「ううん。かわいそうって思っても、掛けてくれていないと役に立てない。それをしてくれてるのは隼人じゃない。俺の仕事が役に立ってる。こういう時役に立てるんだって、もっと誇りに思っていいよ」