フォンダンショコラな恋人
陽平は割と乱暴にブチッと携帯を切った。
そうして、携帯を翠咲に渡す。

「ちょ……」
「何かあいつと話したい?」
「いや……いいけど……」

現場にいた警察官は戸惑っていた。
いや……あの事情聴取とかしてもいいかな?

男はその後連行されて、警察には翠咲と陽平にも事情を聞きたいと言われた。
翠咲が陽平を見ると陽平がこくん、と頷くので、翠咲は了承する。

後で到着した刑事課の捜査車両で、翠咲と陽平は警察署に行くことになったのだ。

陽平が全く動揺していない様子なのが、警察官にも気になったらしい。

「あの……ご職業は……?」
「弁護士です」
「ああ……なるほど……」

業務終わりで外していた弁護士バッジを陽平は胸ポケットから取り出して、車の中で付けていた。

その横顔はいつも通りで、冷静さを欠くことはない。翠咲は安心して、ふう……と息をついた。
そして先程から気になっていた事をこっそり陽平に聞く。

「ねえ、何か武道やっていたの?」
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