フォンダンショコラな恋人
しかし、陽平の凄いところはそこだけではなくて、その後警察署についてからも、テキパキと手続きを進め、翠咲に被害届の提出を指導し、なんとあの状況でICレコーダーまで作動させていたと証拠物件まで提出してきたのだ。

──ほんっとうにこの人、敵に回したくない!!

そう思ったのは翠咲だけではないはずだ。
多分、対応した警察官もそれは思っただろう。



その後、マンションに帰りついたのは夜中だった。

翠咲はぐったりだったけれど、陽平は思いのほか通常通りで、翠咲をリビングのソファに座らせ、お風呂の準備をし、この前の温かいロイヤルミルクティーを作ってくれた。

「ごめんね、全部させちゃって……なんだか申し訳ないな」
陽平は軽く首を傾げて翠咲を見た。
「いや?むしろ当然だろ」

カップに入った暖かいロイヤルミルクティーを翠咲に渡しつつ、隣に座る。

「まあ、警察署に仕事で行くこともあるから。翠咲は慣れないし、疲れただろう」

陽平はすらりと長い足を組んで、ソファーに座った。その身体はほとんど翠咲の方を向いていて、翠咲はこんな時なのにドキドキしてしまった。
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