フォンダンショコラな恋人
──本当にその綺麗な顔で真っ直ぐ見るのはやめてほしい。

そんな気持ちをごまかすように翠咲は手元のカップにふーと息を吹きかける。

「差し出がましいかなとは思ったけど、沢村さんには連絡させてもらった」
そんな翠咲に陽平は淡々と伝えてきた。

翠咲は一瞬きょとん、とする。
──さわむ……?え?課長?!

「いつの間に!」
「翠咲が事情聴取を受けている間に。明日は休みにしていいってさ」

本当に陽平は翠咲に甘いのだ。

そして陽平は心配そうに翠咲の顔を覗き込んでくるから、翠咲は困ってしまう。

しかも、会社にまで連絡し……ん?
「ちょっと待って……。どうやって言ったの?」
んー?と少しだけ陽平は考えているような顔をしていた。

「普通に」
普通ってなに?!そこ詳しく!
「守秘義務があるから言えないんですけど、とかそんな感じで」

さすが過ぎる。
「なに?翠咲は僕とのお付き合いが会社に知られると困るわけ?」
拗ねてしまったように陽平は翠咲にそう言った。
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