フォンダンショコラな恋人
「そんなことはないわよ!ただ……」
……照れくさいだけなのだ。

「なんか顔赤くないか?大丈夫か?」
「だって……慣れない。陽平さんの顔、綺麗すぎる」

翠咲の近くにある少しだけきょとんとしたような顔は他の人には絶対見せないようなものだなのだ。
その後の花が開いたような笑顔も。

「翠咲、慣れて」

そう言って、翠咲の頬を指の背で撫でる陽平の声が甘い。

「ほら!さっきまで無表情に淡々としてたくせして、そんなのズルいんだってば」
悔しいけれど、翠咲にだけ甘い陽平が、カッコよすぎるのだ。

「いつまでたっても、そんな風に見とれてくれるところが可愛い」
「そうやって人をからかって!」
「違うってば本当に」
何?!その可愛い言葉遣い!ギャップで死にそうなんですけど!!

とんっ!とリビングテーブルにカップを置いた翠咲は陽平を見る。
「ありがとう。大好き」
そうしてぎゅっと抱きついた。

実際凶器はなかったとはいえ、危なかったのだ。けれど、陽平は迷いなく翠咲を背に庇った。
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