フォンダンショコラな恋人
士業……これは、自身の勉強次第だ。
これも、税理士、弁護士、いろいろあったけれど、その中で弁護士を選んだのは、ステイタスの高さと単純に子供らしい憧れもあったから。

難関と言われる司法試験は割と早く突破し、大手の弁護士事務所に声をかけてもらって入所した。

親が弁護士だとかでも無い限り、弁護士にも就職活動は存在すると分かったし、弁護士の仕事は裁判だけではないので、かなり幅広い中から自分のやりたいことを、きちんと見極めておかなくてはいけないと強く感じたものだ。

倉橋も最初は弁護士とは、裁判所で依頼人の弁護をする事が主な仕事だと思っていた。

もちろん、裁判所に行かない訳ではないのだが、倉橋のいた事務所では主に代理人としての出廷の方が多かったりした。
事務所が割と民事絡みの依頼が多かったせいもある。

そんな中で、今のオーナー弁護士である渡真利(とまり)に会ったのだ。
元々大学の先輩で、顔見知りではあったけれど、裁判所で偶然会った。

次の公判の時に席にいたから、関係者の代理人でも引き受けているのかと思ったら、帰り人がいないところで声をかけられた。

「久しぶりだな、今度飲みにでも行かないか?」
「はあ……」
< 21 / 231 >

この作品をシェア

pagetop