フォンダンショコラな恋人
保険会社は係争があるので、顧問弁護士を何人も抱えている。
最大手では何百人と抱えている会社もあるくらいだ。

けれど、その中でも比較的フットワークの軽い『渡真利法律事務所』は非常に重宝されていると言っても間違いではない。

その保険会社での担当を任されるようになって、数ヶ月、傷害査定という部署で呼ばれていると聞いて向かった。

『傷害査定は言っても案件としては軽いから、そこまで力まなくていいからな』
が渡真利の説だった。
前日に約款を確認し、訴訟案件や判例の確認をする。

自動車対自動車の交通事故などのように、相手がある訳ではないが、仮に支払いはしないと保険会社が判断する場合は、その理由を保険会社側が証明しなければいけないというのが厄介だと思った。

消費者有利、が原則なのだ。
契約者保護、とも言われる。

それを乗り越えるためには、相当の証拠がないと万が一係争になった場合に負ける可能性があると思った。
法廷で係争になっても、負けないくらいのもの。

朝、出る前に、渡真利と案件の打ち合わせになった際にその話をした。
< 24 / 231 >

この作品をシェア

pagetop