フォンダンショコラな恋人
課長である沢村が困ったような顔をしている。
止めなければ、と思うのに、妙に安心してしまったら、こぼれ落ちる涙を止めることができなかったのだ。
「…っ、ご、ごめんなさい……。」
「いいよ。不安だったよな。それに訴えられているのは宝条さんじゃないんだ。君はたまたまこいつの担当になっただけ。会社が訴えられているんだから、あとは会社が考えることなんだから、大丈夫なんだよ。」
「案件は僕が引き継ぐから、無理なら手伝わなくていいんだよ。」
「……ちが…っ、課長…、ありがとうございます。…私、…」
倉橋にはいつも不足している、と言われていたから、きっと自分には足りないものがあるんだと思っていて、まさか、問題ない、と倉橋弁護士が今この場で言ってくれるなんて思わなかったのだ。
「す、すみません、ちょっと外します。あの…私、サブはしますので、課長よろしくお願いします。」
「うん。無理ならいつでも言ってな。」
「ありがとうございます。」
……な…泣くなんてカッコ悪すぎる。
席を立ち、翠咲はハンカチとポーチを持ってお手洗いに行く。
けれど、倉橋の言葉だったり、課長の優しさだったり、渡真利の頼り甲斐だったり、そんなものに気持ちが揺り動かされて、急に込み上げてしまったのだ。
止めなければ、と思うのに、妙に安心してしまったら、こぼれ落ちる涙を止めることができなかったのだ。
「…っ、ご、ごめんなさい……。」
「いいよ。不安だったよな。それに訴えられているのは宝条さんじゃないんだ。君はたまたまこいつの担当になっただけ。会社が訴えられているんだから、あとは会社が考えることなんだから、大丈夫なんだよ。」
「案件は僕が引き継ぐから、無理なら手伝わなくていいんだよ。」
「……ちが…っ、課長…、ありがとうございます。…私、…」
倉橋にはいつも不足している、と言われていたから、きっと自分には足りないものがあるんだと思っていて、まさか、問題ない、と倉橋弁護士が今この場で言ってくれるなんて思わなかったのだ。
「す、すみません、ちょっと外します。あの…私、サブはしますので、課長よろしくお願いします。」
「うん。無理ならいつでも言ってな。」
「ありがとうございます。」
……な…泣くなんてカッコ悪すぎる。
席を立ち、翠咲はハンカチとポーチを持ってお手洗いに行く。
けれど、倉橋の言葉だったり、課長の優しさだったり、渡真利の頼り甲斐だったり、そんなものに気持ちが揺り動かされて、急に込み上げてしまったのだ。