フォンダンショコラな恋人
5.断れません
そしてその2ヶ月ほどの後、2回の公判を終え判決が降りた。
裁判には通常時間がかかる、というイメージだったのだが。
何だか早いように翠咲は感じた。
前のようにミーティングルームに課長、翠咲、渡真利、倉橋の4人が集まる。
そうして渡真利が判決文を見せた。
「『保険会社は極力速やかに判断をすること。極力履行期以内での判断をし、契約者に速やかに通知すること』だって」
「えーと、それは……?」
「なるはやで判断してあげてねってこと」
「支払え、ではなくて?」
てっきり払えという話なのだと思っていた翠咲は、きょとんとしてしまう。
「ないねえ。向こうは『払ってくれません』と言っているけど、判断はあくまで保険会社の約款に基づくものだし、こちらは何も約款からは外れたことはしていないからねえ。まあ、時間かかってるのは事実だから、そこはごめんねってことで。大体、まだ判断が下りてもないのに払えって言ってくることがそもそもおかしい」
「もし、判断に不満があるのなら、別件になるしな」
課長もそう言ってくすくす笑っていた。
何となく、こうなることを察していたような気配もある。
裁判には通常時間がかかる、というイメージだったのだが。
何だか早いように翠咲は感じた。
前のようにミーティングルームに課長、翠咲、渡真利、倉橋の4人が集まる。
そうして渡真利が判決文を見せた。
「『保険会社は極力速やかに判断をすること。極力履行期以内での判断をし、契約者に速やかに通知すること』だって」
「えーと、それは……?」
「なるはやで判断してあげてねってこと」
「支払え、ではなくて?」
てっきり払えという話なのだと思っていた翠咲は、きょとんとしてしまう。
「ないねえ。向こうは『払ってくれません』と言っているけど、判断はあくまで保険会社の約款に基づくものだし、こちらは何も約款からは外れたことはしていないからねえ。まあ、時間かかってるのは事実だから、そこはごめんねってことで。大体、まだ判断が下りてもないのに払えって言ってくることがそもそもおかしい」
「もし、判断に不満があるのなら、別件になるしな」
課長もそう言ってくすくす笑っていた。
何となく、こうなることを察していたような気配もある。