フォンダンショコラな恋人
「私も先生のこと嫌いって言って、本当にごめんなさい。今はそんな風に思っていませんから。本当に頼り甲斐のある方だって思うし、今日も面白くて可愛いところもある人なんだなって思いました」

「は⁉︎ 今度は可愛い⁉︎」
「可愛いですよー、突然腕まくったりして。ムキになっちゃって」

「あれは、君が根も葉もないことを言うから証拠を見せようと思って……。だから笑うんじゃない」
気づまりかと思っていた倉橋と食事は思いの外楽しくて、気づいたらデザートになっていた。

「本日のデザートはフォンダンショコラです。温かいのでお気をつけください」
最後のデザートの皿がテーブルに乗せられる。

「うわー、大好き!」
翠咲はフォンダンショコラにそっとナイフを入れる。
中からとろりと温かいチョコがこぼれるのを見て、翠咲はつい笑顔が浮かんでしまった。

表面は固くて、すこし苦味がある。
けれど、中は熱くて甘いのだ。

「外は少し苦くて、このアイスの冷たいのと温かいフォンダンショコラの組み合わせはすごくいいんですよね。外は苦くて、中は温かい……で、冷たいのが合う」

……ん?この組み合わせ、どこかで見たような。
あ、倉橋先生だ。
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