フォンダンショコラな恋人
だいぶ前に聞いたと思うんだけど。
どれだけ時差あんのよ⁉︎

そして『君と行きたいと思ったから、君を誘った』という分かったような、分からないような回答をもらったのではなかっただろうか。

そしてふと……昼間のキスを思い出し翠咲は赤くなって俯く。

それも『したかったからした』とか。

「君こそどうして一緒に行った? それにどうして今ここにいるんだ?」
「だ……って、元町ヴィラですよ倉橋先生! 断れるわけないじゃないですか! それに今…ここにいるのは、それは……お食事をご馳走して頂いたから、そのお礼というか」

倉橋は翠咲の手から資料を取り、キャビネにしまった。
そうして、翠咲の手を握り直す。

「じゃあ、もうひとつ聞こうか。なぜ昼間逃げなかった?」
何だか追い詰められている気がする。

っ……ズルい。こんな綺麗な顔で、相変わらず無表情なのに口調だけ妙に熱くて、逃さないと言わんばかりの……。

そんな言葉を証拠みたいにずらずら並べて……なぜ、なんて……。
< 83 / 231 >

この作品をシェア

pagetop