フォンダンショコラな恋人
その冷静な表情に腹が立つ。
全くもう!
ムダにイケメンなのよっ!

「そういうところが……嫌いなのよ!」

「全く君は……そんな真っ赤な顔で言っても、説得力がないんだ」
腰を強く抱きこまれて、あの倉橋とはとても思えないくらい、熱く、熱く抱きしめられる。

もう抵抗なんて出来なかった。

なんだか嬉しそうに見える倉橋の顔を見つめていたら、その距離が近くなってまた唇が重なってしまったから。

今度は最初から情熱的なキスだった。

熱を伝えるように何度も溶け合うように舌が絡む。
キスだけのはずなのに、翠咲は気持ち良くて立っていられなくなりそうだった。

「嘘つきだ。こんなになってるくせに嫌い?」
「嫌い……」
緩く擦れる舌の甘さに、酔いそうだ。

こうでも言わないと、全てを持っていかれそうだから。
心も身体も、全部。

「本当に?」
分かっているけれど、聞いてあげる。
倉橋はそんな顔をしていて、それはひどく翠咲の心を揺さぶる。

「その顔……ダメ、反則っ……」
「虚偽の申告は……絶対許さないけど……」
< 86 / 231 >

この作品をシェア

pagetop