すみれの人生
眩しい…
昨日襖を完全に閉めれていなかったのか朝日が顔、というか目に諸共当たってしまって眩しすぎる
そして、どこからが雀の鳴き声が聞こえる気がする
朝日が上がりきってしまったのだろうか…?




朝日…




朝…………?
「朝餉作れてない!!!!」
はっとした時には行動するまでが早かった
寝起きから着替えて、軽く髪を梳いて布団を畳んで、部屋から出る
勢いよすぎて襖からあらぬ音が聞こえるがそこはまぁ無視するとしよう。
「お早う朱里、今日は随分寝ていたね。いい夢でも見てたのかな、それともあの夢かい?」
予想はしてたけど矢張り間に合わなかったようで、そこには父がいた。
「ごめん。お父さーーん!今日の支度寝坊しちゃった」

私達は父親と朱里と呼ばれた私の父娘二人家族で日々を生きていた。
物心つく歳の頃頃母親がいないという状況を周りと比べて少しだけ変に思った私は父親に『どうして私にはお母さんがいないの?』
って聞いてしまったことがある
当時は興味本位だったし今思えば悪い事をした自覚はある
母は私を産んで直ぐに亡くなってしまったという
困ったような悲しいようなそんな顔で父は事実を告げていた。
その表情から凄く愛していて今もその傷は癒されていないのだろう。


だから、父に全ての負担をかけないよう、朝に限らず昼、夕方頃のご飯支度は当番はなくてできる人、やりたい人がやる決まりだった。
(本当はぜーんぶやりたかったんだけど、『全てお前がやる必要はない』って怒られてしまった)
「最近は朱里に任せきりだったからなぁ。今日こそはと思ったんだよ。」
困ったような顔で笑うから怒るに怒れなくなってしまった私はただ頬を膨らませることしか出来なかった。
「そろそろできるから顔を洗ってきなさい。その様子じゃまだ終えていないだろう?元気に向かっている音が聞こえていたよ」
元気に向かっている音即ち私が慌てて走っている際に起きた足音であろう。
私ながらに恥ずかしい
「むぅ…お昼は私が作るんだからね!」

まるで敗者が負けた際に言い捨てる台詞のようだ
顔を洗ってきていないのは事実なので少々落ち着かない気持ちのままその場を後にしようとした
あっ忘れてた。
私はそこから動かず振り向くだけで
「お父さん、お早う」
とだけ返した。
うん、挨拶は大事!!
さっきの事も含めて笑われたくなかったので挨拶して直ぐに正面に向いたが
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop