(仮)愛人契約はじめました
 うむうむ、と真伸は頷き、
「蓮太郎に初めてできた大事な人だ。
 丁重にもてなそう。

 大王。
 広間に食事を」
と立ち上がってしまう。

 だが、真伸は行きかけて振り返った。

「ああ、唯由さん。
 あんたのお父上は、家はあんたに相続させるつもりのようだが。

 うちはそんなもの目当てにしておらんから、身一つで嫁いできなさい。

 では」

 柔和な表情を消して、バシッと言い切ると、そのまま行ってしまう。

 真伸を見送りながら、蓮太郎が呟いた。

「蓮形寺の後継者は出て行ったお前なのか?
 そりゃあ、継母にも月子にもやられるな」
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