(仮)愛人契約はじめました
唯由を送ったあと、アパートから出ようとした蓮太郎は窓際に唯由が立っているのに気がついた。
他の男に見初められてはいけないから、カーテンも開けるなと言ったので、唯由は、ちゃんとカーテン越しに送ってくれているようだった。
……莫迦なことを言っているという自覚はちょっとだけある。
そんな自分の阿呆な話を唯由がちゃんと聞いてくれているのは、たぶん、ごちゃごちゃ言われたら、面倒臭いからだろう。
だが、蓮太郎自身は、自分でカーテンも開けるなと言ったくせに、別れ際に顔が見られなかったことを寂しいと感じていた。
勝手なもんだな、と自分で思う。