(仮)愛人契約はじめました



 そして、自宅に帰り、寝ようとしたところで気がついた。

 怒涛の騒ぎで実感がなかったが、そういえば、キャンセルが出たから旅行に行けることになったんだったと。

 この間の旅は、日帰りだったし。

 生首にされそうになったり、バズーカで撃たれそうになったりで、落ち着かなかったが。

 今度は二人でゆっくりできる。

 そう思うと、なんだか眠れなくなってきた。

 蓮太郎はそれでもベッドに入り、目を閉じる。

 明日の仕事に差し支えるからだ。

 だが、唯由の笑顔ばかりが浮かんできて眠れない。

 駄目だっ、眠れないっ。

 何度目かの寝返りのあと、蓮太郎は思った。

 羊だ。
 羊を買いに行かなければ!

 蓮形寺のじいさんみたいにっ。
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