(仮)愛人契約はじめました
「やだ、紗江ちゃんっ?
 この会社にいたの?」

「お知り合いなんですか?」
と蓮太郎が訊くと、

「中学と高校が一緒だったの」
と二人は言う。

 同じ私立の名門女子校に通っていたらしい。

「いや~、元気~?
 なんで、此処いるの?」

「嘘っ。
 唯由ちゃんのお母さんって早月ちゃんなの?」

 きゃっきゃ、と女子高生のように、はしゃぐ二人を離れた位置から唯由が見ていた。

 回覧板を手にしている。

 移動中たまたま通りかかったようだ。

「あの……
 紗江さんって、一体、お幾つなんですか?」

 禁断の質問をショックのあまり、唯由は口にした。
< 364 / 445 >

この作品をシェア

pagetop