(仮)愛人契約はじめました
さて、おむすびを食べ終わり、机を少し端に避けると、唯由たちは畳の上に、唯由が持ってきたゲーム類を広げた。
酒も呑んだが、ふたりともあれしきでは酔わないので、残念ながら、それでテンションが変わることはなかった。
冷静に並んだゲームを見つめる。
何種類かのボードゲームができるセット。
UNO。
トランプ。
人狼ゲーム。
人生ゲーム。
「……ずいぶん持ってきたな」
「ちょ、ちょっと不安に駆られまして……」
蓮太郎はゲーム類を眺めながら、ほう、と言ってくる。
「俺を退屈させると、襲われるんじゃないかと思ってか」
いやいや、そんなことっ、と唯由は慌てる。
たくさん持ってきてしまったのは、単に沈黙が怖かったからだ。
でも、雪村さんは、そのことに気づいていたような気がする、と唯由は思っていた。
だから、さっき、ゲームをやろうと言ってくれたのは、雪村さんの優しさだったのだろう。