(仮)愛人契約はじめました
「でも、俺はお前との愛人契約を解消しようと思わなかった。

 お前といたら、俺はすべてを失うんだろうなと思いながらも。

 自由な生活も、研究者としての未来も俺の前から消え失せる」

 でも……と蓮太郎は言った。

「でも、俺は俺の生きがいすべてを捨てても、お前といたいと願ってしまったんだ」

 愛人はもういらない、と蓮太郎は言い、ようやく顔を上げた。

 唯由を見つめる。

「俺と結婚してくれ。
 それが俺の三つめの願いだ」

 ……だから、三つ叶えるって言ってません。

 っていうか、まだその話、覚えてたんですか、と唯由は思う。

「そして、一生側にいてくれ。
 それが四つめの願いだ」

 いつ四つに増えたんですか……。
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