(仮)愛人契約はじめました
「なにこのコマ送りな蓮形寺のラブラブ写真」
月曜日、社食で美菜が旅行の写真にケチをつけてくる。
蓮太郎が撮った唯由の写真がコマ送りかというくらい連写だったのだ。
「……なんで全部焼いたんですか、雪村さん」
「だって、選べないだろうが」
と珍しく一緒に社食に来ていてた蓮太郎が言う。
「パラパラ漫画ができそうだね」
と道馬が苦笑いしていた。
その左右に正美と範子が狛犬のように鎮座ましましている。
月子、今、料理の特訓中だが、間に合うだろうか……と押しの強い二人を見ながら唯由が思ったとき、道馬が言った。
「いや~、俺って味オンチでさ。
別に毎日、いまいちなスーパーの惣菜でも平気」
……聞かなかったことにしよう。
せっかく月子がやる気になってることだし。
道馬さんと上手くいかなくても、きっといつかなにかで上がった料理の腕は役に立つはずだ、と唯由は思っていた。