(仮)愛人契約はじめました
雪村さんを奪われました……
「どうしたの? 蓮形寺。
元気ないじゃん」
キャンセルが出て、保子の宿に泊まれることになった美菜がご機嫌のまま、自動販売機の横で訊いてきた。
一緒に社食から来ていた道馬も訊いてくる。
「どうしたの?
雪村と別れたの?」
……なんで笑顔なんですか、道馬さん。
元カノと再会して、ちょっぴりいい雰囲気になったとか言ってましたが、上手くいっていないのですか。
月子はどうですか?
そんなことを思いながら、唯由は訴える。
「実は……、
雪村さんを泥棒猫に盗られてしまったんですっ!」
「ええっ?
あんた以外に女を作るとか。
あのヤンバルクイナにそんな甲斐性あるのっ?」
と美菜が同期らしく失礼極まりないことを言う。
「落ち着いて聞きなよ、大野。
雪村だよ?」