(仮)愛人契約はじめました



「月子、おねえちゃんがいい人さがしてあげる」

「ありがとう、おねえさま」

 さすがは、おねえさまっ、と月子は思った。

 おねえさまは太陽の巫女、イヨ。
 私は月子。

 月子は蓮太郎に、
「だから?」
と言われそうなことを思い、頼りがいのある姉にうっとりする。

 ふだんは反発しがちだが、つい、困ったときは頼ってしまう。

 だが、いい人……、と口の中で呟いた唯由は、

「ああでも、雪村さんは駄目よ」
とちょっと照れたように呟いた。

「あの人、いい人じゃないですわ、おねえさま」
とすぐそこにいた蓮太郎を指差し月子は言う。

「私たちのもとから、おねえさまを連れ去るから」

「……いや、こいつ、俺が出会う前に家出てたが」
と蓮太郎は呟いていた。
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