辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
息抜きはフィリップ殿下とお散歩したり、お茶をしたりする時間だった。おそらく、それは王太子であったフィリップ殿下も同じだったと思う。けれど、二人の間に芽生えたのは友情だけで、恋心は芽生えなかった。
今思い返せば、おそらく二人とも、それが芽生えてしまったらこの関係が終わりを告げることに気付いていたのだと思う。
セシリオは、どんなに仕事が忙しかろうと必ずサリーシャと食事を共にした。夕食に関してはほぼ毎回軍服のままで現れ、仕事を抜けてきているのは明らかだった。しかし、恐縮するサリーシャに対して、セシリオは笑顔で「大丈夫だ」と微笑むだけだ。
「もしかして、わたくしのせいで無理をしていらっしゃいませんか?」
サリーシャはある時尋ねた。
サリーシャが一緒に夕食を食べていいかと初日に聞いたせいで、律儀にそれの約束を守り続けるセシリオの仕事に支障をきたしているのではないかと思ったのだ。
「いや? 何も無理はしていない」
「でも……」
「前に言っただろう? きみはなにも気にする必要はない」
そう優しく微笑まれると、サリーシャはいつもそれ以上は何も言えなくなってしまうのだ。
今思い返せば、おそらく二人とも、それが芽生えてしまったらこの関係が終わりを告げることに気付いていたのだと思う。
セシリオは、どんなに仕事が忙しかろうと必ずサリーシャと食事を共にした。夕食に関してはほぼ毎回軍服のままで現れ、仕事を抜けてきているのは明らかだった。しかし、恐縮するサリーシャに対して、セシリオは笑顔で「大丈夫だ」と微笑むだけだ。
「もしかして、わたくしのせいで無理をしていらっしゃいませんか?」
サリーシャはある時尋ねた。
サリーシャが一緒に夕食を食べていいかと初日に聞いたせいで、律儀にそれの約束を守り続けるセシリオの仕事に支障をきたしているのではないかと思ったのだ。
「いや? 何も無理はしていない」
「でも……」
「前に言っただろう? きみはなにも気にする必要はない」
そう優しく微笑まれると、サリーシャはいつもそれ以上は何も言えなくなってしまうのだ。