辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「温かい……。可愛いわ」
「気に入った?」
「はい」
手を離すと、セシリオはしばらくそのままデオを眺めていたが、ふとサリーシャの方に視線を移した。
「今度、一緒にデオに乗ってどこか出かけるか?」
「いいのですか?」
「もちろん。次の休みに、行こう」
「ありがとうございます」
サリーシャは花が綻ぶかのように、満面の笑みで微笑んだ。
またセシリオと一緒にお出かけできる。しかも、今度は馬の相乗りで。そのことは、サリーシャの気持ちを舞い上がらせるには十分だった。
──わたくしは、この人のことが好きなのだ。
そうはっきりと自覚させるくらいに。