辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「遅かったな? 見付けるのに手間取った?」
「いや」
セシリオはそれだけ言うと封筒を無造作に執務机に置き、椅子にドサリと腰をおろした。
「たまたま、中庭にサリーシャがいるのを見かけてな。──彼女、何かに悩んでるようなんだ。初めは、初めて訪れるこの地に戸惑ってるだけかと思ったんだが、どうも違う気がして……」
「なら、お前との結婚に迷ってる?」
セシリオは痛いところを付かれて、ぐっと眉根を寄せた。視線を移動させたモーリスはそんなセシリオを見て、くくっと笑う。
「冗談だ。──それはきっと、マリッジブルーってやつだな」
「マリッジブルー?」
「女ってのはいざ結婚を前にすると、色々と悩み事が湧いてくるらしいぜ? 本当にこの男でいいのか、自分はいい妻になれるのか、いい母になれるのか……」
「そうなのか?」
「と、俺の妻は言っていた。この前、第二部隊のヘンリーの結婚がごたついたときに」
「ああ。あれか」
セシリオは納得したように顔をしかめ、モーリスから目を反らす。
「いや」
セシリオはそれだけ言うと封筒を無造作に執務机に置き、椅子にドサリと腰をおろした。
「たまたま、中庭にサリーシャがいるのを見かけてな。──彼女、何かに悩んでるようなんだ。初めは、初めて訪れるこの地に戸惑ってるだけかと思ったんだが、どうも違う気がして……」
「なら、お前との結婚に迷ってる?」
セシリオは痛いところを付かれて、ぐっと眉根を寄せた。視線を移動させたモーリスはそんなセシリオを見て、くくっと笑う。
「冗談だ。──それはきっと、マリッジブルーってやつだな」
「マリッジブルー?」
「女ってのはいざ結婚を前にすると、色々と悩み事が湧いてくるらしいぜ? 本当にこの男でいいのか、自分はいい妻になれるのか、いい母になれるのか……」
「そうなのか?」
「と、俺の妻は言っていた。この前、第二部隊のヘンリーの結婚がごたついたときに」
「ああ。あれか」
セシリオは納得したように顔をしかめ、モーリスから目を反らす。