辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
***
晩餐の会場は、屋敷の一階に位置する接客用の晩餐室だった。サリーシャはまだ入ったことのない部屋だ。時間の少し前に階下に降りると、ちょうどセシリオも仕事を抜けて来たところのようで、軍服姿で前を歩く姿が見えた。
「閣下」
サリーシャは小さく呼び掛ける。
さほど大きな声ではなかったにも関わらず、セシリオはくるりとこちらを振り返った。そして、サリーシャの姿を目に留めると、少しだけ目をみはった。
「マリアンネ様の歓迎晩餐会とお聞きしたので、少しだけお洒落をしてみました。どうでしょう?」
サリーシャは両手でスカートの端を摘まみ、何回も練習した淑女の礼をして見せる。顔を上げると、何故かセシリオは眉間に皺を寄せ、難しい顔をしていた。
「閣下?」
サリーシャはセシリオの様子に、自分がなにかまずいことをしでかしたのかと狼狽えた。セシリオはサリーシャを見つめたまま、コホンと咳払いをする。
「サリーシャ。今日はモーリスも出席する」
「はい。もちろん、知っております」
晩餐の会場は、屋敷の一階に位置する接客用の晩餐室だった。サリーシャはまだ入ったことのない部屋だ。時間の少し前に階下に降りると、ちょうどセシリオも仕事を抜けて来たところのようで、軍服姿で前を歩く姿が見えた。
「閣下」
サリーシャは小さく呼び掛ける。
さほど大きな声ではなかったにも関わらず、セシリオはくるりとこちらを振り返った。そして、サリーシャの姿を目に留めると、少しだけ目をみはった。
「マリアンネ様の歓迎晩餐会とお聞きしたので、少しだけお洒落をしてみました。どうでしょう?」
サリーシャは両手でスカートの端を摘まみ、何回も練習した淑女の礼をして見せる。顔を上げると、何故かセシリオは眉間に皺を寄せ、難しい顔をしていた。
「閣下?」
サリーシャはセシリオの様子に、自分がなにかまずいことをしでかしたのかと狼狽えた。セシリオはサリーシャを見つめたまま、コホンと咳払いをする。
「サリーシャ。今日はモーリスも出席する」
「はい。もちろん、知っております」