辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「あのっ! 明後日であれば、わたくし達のお出かけにご一緒していただいてはいかがでしょう?」
自分でも、なぜこんなことを言ってしまったのかわからない。ただ、この場のピリピリした雰囲気をなんとか収めなければと思った。
「あら、明後日はお二人でお出かけの予定が? なら、ちょうどいいわ。わたくしもご一緒させて下さいませ」
マリアンネがさも名案とばかりに、にっこりと微笑む。対して、セシリオは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。
「……本当にいいのか?」
「もちろんです」
探るような口調でセシリオに問いかけられ、サリーシャは笑顔で頷く。
本当は、二人で出掛けたかった。けれど、この場で「やっぱり、嫌です」と言い出せるほどの無神経さをサリーシャは持ち合わせていなかった。
「……わかった。きみがそれでいいなら、そうしよう」
ため息をつくようにそう言われ、サリーシャは自分は何か間違ったのだろうかと不安になり、顔を俯かせた。