辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

「つまり、アハマス辺境伯家にとって、ブラウナー侯爵家ほど理想的な婚姻の相手はいませんの。サリーシャ様はセシリオ様と結婚して、何かセシリオ様にメリットはありますか?」
「──メリット?」
「婚約など、何度だって覆るのです。より、条件のいい方にね。サリーシャ様はそのことを、よくご存じでしょう?」

 雨は先ほどより勢いを増し、音をたてて窓を叩いている。その後も何か言っていたマリアンネの言葉が、サリーシャにはほとんど何も聞こえなかった。

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