辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「ドレスと宝石は今のところ大丈夫ですわ。でも、本は読み終わったらまたすぐに新しいものが欲しくなりますから。その……、閣下にプレゼントして頂けたら、とても素敵だと思ったのです」
「すぐにドリスに今人気の本を調べさせて用意しよう。きみのためなら、本屋ごと買い取ってもいい」
「それは多すぎます!」
サリーシャは慌ててセシリオににじり寄って言った。
そう言えば、初めてクラーラと会った日に、クラーラはセシリオがドレスを十着以上買おうとして止めたと言っていたのを忘れていた。きちんと見張らないと、本当に本屋ごと買い取ってしまうかもしれない。
「そうか? 遠慮しなくていいのだが……。では、リストを作るから好きな本を何冊か選んでくれ。いくらでも、贈ろう」
「はい」
勢いよく詰め寄ったので、気付けばセシリオの顔がとても近い。思った以上に近い距離に、サリーシャの胸がトクンと跳ねた。
セシリオは片手をサリーシャの頭の後ろに回すと、髪を撫でながら柔らかく微笑んだ。