辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
突如セシリオがガバっとサリーシャから離れた。
入り口の方を向いて不愉快そうに顔を顰め、チッと小さな舌打ちをする。その時、もう一度扉がノックされ、セシリオが応える前にガチャリと開いた。
「おい、セシリオ。今、早馬がきた──って、お邪魔だったか?」
そこから顔を覗かせたのはモーリスだった。サリーシャが部屋にいることに気付くと、少しだけ気まずそうな表情を浮かべる。サリーシャは慌てて密着しているセシリオから距離を取ろうとしたが、最初からソファーの端に居たので大した距離は取れなかった。
「ああ、邪魔だ。出て行け」
「黄色なんだよ」
忌々し気に睨みつけるセシリオに対し、モーリスは肩を竦めて手に持っている封筒を掲げた。それは真っ白な封筒に赤い封蝋が施されているように見えた。
「赤の間違えじゃないか?」
「イチャイチャしているところを邪魔されて現実逃避に走りたい気持ちは分かるが、残念ながら黄色だ。よく見ろ」
「……今は見たくない」
入り口の方を向いて不愉快そうに顔を顰め、チッと小さな舌打ちをする。その時、もう一度扉がノックされ、セシリオが応える前にガチャリと開いた。
「おい、セシリオ。今、早馬がきた──って、お邪魔だったか?」
そこから顔を覗かせたのはモーリスだった。サリーシャが部屋にいることに気付くと、少しだけ気まずそうな表情を浮かべる。サリーシャは慌てて密着しているセシリオから距離を取ろうとしたが、最初からソファーの端に居たので大した距離は取れなかった。
「ああ、邪魔だ。出て行け」
「黄色なんだよ」
忌々し気に睨みつけるセシリオに対し、モーリスは肩を竦めて手に持っている封筒を掲げた。それは真っ白な封筒に赤い封蝋が施されているように見えた。
「赤の間違えじゃないか?」
「イチャイチャしているところを邪魔されて現実逃避に走りたい気持ちは分かるが、残念ながら黄色だ。よく見ろ」
「……今は見たくない」