辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
***
その馬車に揺られること十分弱。早くもサリーシャは足止めをくらっていた。
一つ目の門でも足止めをされたが、サリーシャが出かける用事があると言い張ると門番は首をかしげながらも門を開けた。馬車は進み、今は二つ目の門の前だ。
「どちらに行かれるのですか?」
「ちょっと、外に用事があるの」
「外とは具体的にどちらです?」
「それをあなたに言う必要はありません」
サリーシャがピシャリと言うと、門番はぐっと押し黙って手元にある書類のようなものを確認し始めた。
「しかし、本日把握している予定表にはその旨の記載がありません。外出許可証はありませんか?」
サリーシャは内心でしまったと思った。
マオーニ伯爵邸では、屋敷を出るときにチェックなど何もされなかった。普通の貴族の屋敷であれば、そんなチェックはされない。しかし、ここはアハマスの領主館であり、国境の要塞を兼ねているのだ。強固な外壁と濠に囲まれた領主館を守る門番は、その要塞を守るという職務を果たすため、そう簡単には門を開けそうになかった。
その馬車に揺られること十分弱。早くもサリーシャは足止めをくらっていた。
一つ目の門でも足止めをされたが、サリーシャが出かける用事があると言い張ると門番は首をかしげながらも門を開けた。馬車は進み、今は二つ目の門の前だ。
「どちらに行かれるのですか?」
「ちょっと、外に用事があるの」
「外とは具体的にどちらです?」
「それをあなたに言う必要はありません」
サリーシャがピシャリと言うと、門番はぐっと押し黙って手元にある書類のようなものを確認し始めた。
「しかし、本日把握している予定表にはその旨の記載がありません。外出許可証はありませんか?」
サリーシャは内心でしまったと思った。
マオーニ伯爵邸では、屋敷を出るときにチェックなど何もされなかった。普通の貴族の屋敷であれば、そんなチェックはされない。しかし、ここはアハマスの領主館であり、国境の要塞を兼ねているのだ。強固な外壁と濠に囲まれた領主館を守る門番は、その要塞を守るという職務を果たすため、そう簡単には門を開けそうになかった。