辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
第四章 謀略

第一話 告白

■ 第四章 謀略

■ 第一話 告白

 サリーシャは俯いたままソファーに座っていた。ローテーブルを挟んで反対側には無言でセシリオが座っているが、怖くて顔を上げることが出来なかった。

 サリーシャがセシリオの部屋の前で屋敷を飛び出したのが一時間半ほど前のこと。上手く抜け出したと思っていたのに、外門の検問所で呆気なく追いつかれ、そのまま屋敷に連れ戻された。今はセシリオの部屋のソファーでこうして二人向き合っている。
 サリーシャは俯いたまま自分のスカートのすそを握りしめた。何も言わないセシリオがかえって怖かった。目の前でこちらを見据える相手が一体何を考えているのかがわからなくて、口汚く罵られた方がまだましだとさえ思えてくる。

 しばらくそうやって無言で向き合っていたが、先に沈黙を破ったのはセシリオだった。

「なぜ、あのようなことをした?」

< 208 / 354 >

この作品をシェア

pagetop