辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

「わたくしを醜くないと、ずっとお側に置いて下さると仰るならば、閣下にはもっと触れて欲しいのです」

 セシリオが目を見開き、ひゅっと息をのんだ。


 ***


 金糸のような長い髪が白いシーツに広がり、光を浴びた海面のように煌めく。

 大きなベッドに横たわり外を眺めると、窓越しに大きな月が見えた。眼前にいる最愛の人を見上げれば、逞しい体が部屋の仄かな明かりと月明かりに照らされて浮かび上がっている。『辺境の獅子』とはセシリオの二つ名だが、その姿は本当に獅子のようだとサリーシャは思った。

 しなやかで、雄々しく、そして、とても美しい。

「怖い?」

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