辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
サリーシャはそれを聞いて意外に思った。王室への報告は実に様々なものがあり、概して文官が対応する。王族自らが姿を現すことはまずないのだ。
「会ってなくて、本当によかったよ。──まぁ、きみを思ってのことだろうが、間一髪の危ないところだった」
「? 危ない?」
サリーシャは、何を言っているのだろうかと怪訝に思い、セシリオの顔を見ようとした。しかし、体を捩った途端に背中に痛みがはしる。
「痛っ!」
「大丈夫か?」
大きな手が、サリーシャの背中を労るように何度も往復する。サリーシャが後ろを振り向こうと体をねじると痛みが走ることを察したセシリオは身動ぎすると、サリーシャの顔がしっかり見える位置まで体を移動させた。
「フィリップ殿下は、きみに会いたがっていたよ。大怪我をしたきみを、その現場になった王宮に呼びつけるわけにもいかないからな。きみのことを……とても……大切な存在だと言っていた」
それだけ言うと、セシリオは口をつぐんだ。そして、ヘーゼル色の瞳でサリーシャを覗きこんだ。とても真剣な眼差しに、サリーシャは思わずベッドの上で足を整え、姿勢を正した。
「会ってなくて、本当によかったよ。──まぁ、きみを思ってのことだろうが、間一髪の危ないところだった」
「? 危ない?」
サリーシャは、何を言っているのだろうかと怪訝に思い、セシリオの顔を見ようとした。しかし、体を捩った途端に背中に痛みがはしる。
「痛っ!」
「大丈夫か?」
大きな手が、サリーシャの背中を労るように何度も往復する。サリーシャが後ろを振り向こうと体をねじると痛みが走ることを察したセシリオは身動ぎすると、サリーシャの顔がしっかり見える位置まで体を移動させた。
「フィリップ殿下は、きみに会いたがっていたよ。大怪我をしたきみを、その現場になった王宮に呼びつけるわけにもいかないからな。きみのことを……とても……大切な存在だと言っていた」
それだけ言うと、セシリオは口をつぐんだ。そして、ヘーゼル色の瞳でサリーシャを覗きこんだ。とても真剣な眼差しに、サリーシャは思わずベッドの上で足を整え、姿勢を正した。