辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
そして、この封蝋の意味はアハマスにとってのトップシークレットであることは間違いない。これを教えることは、セシリオの『サリーシャを必ず妻にする』との強い意思表示であるように感じた。
「よく覚えておきます」
「よし。……あと、ブラウナー侯爵とは出来るだけ二人きりにならないでくれないか? 気になることがある」
「気になること?」
「ああ。前に一緒に晩餐を囲んだ際に──」
セシリオはそこで言葉を濁した。言うべきか言わざるべきか考えあぐねていているように、口元に手を当てた。言いにくいことなのかもしれないと、サリーシャは聞き出すのをやめ、腰に回ったセシリオの腕をどかすように手に力を入れた。その腕はするりと抵抗なく外れる。
「わかりました。ところで、閣下はわたくしに、言いたいことは全て言ってくれと仰いましたわね?」
「ああ。何かあるのか?」
「あります」
サリーシャはそう言うと、瑠璃色の瞳でまっすぐにセシリオの顔を見つめた。途端にセシリオの瞳に不安げな色が浮かぶ。きっと、また何かをよからぬ方に誤解をしているに違いない。
「よく覚えておきます」
「よし。……あと、ブラウナー侯爵とは出来るだけ二人きりにならないでくれないか? 気になることがある」
「気になること?」
「ああ。前に一緒に晩餐を囲んだ際に──」
セシリオはそこで言葉を濁した。言うべきか言わざるべきか考えあぐねていているように、口元に手を当てた。言いにくいことなのかもしれないと、サリーシャは聞き出すのをやめ、腰に回ったセシリオの腕をどかすように手に力を入れた。その腕はするりと抵抗なく外れる。
「わかりました。ところで、閣下はわたくしに、言いたいことは全て言ってくれと仰いましたわね?」
「ああ。何かあるのか?」
「あります」
サリーシャはそう言うと、瑠璃色の瞳でまっすぐにセシリオの顔を見つめた。途端にセシリオの瞳に不安げな色が浮かぶ。きっと、また何かをよからぬ方に誤解をしているに違いない。