辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
 ──ああ。やっぱり口に出して言わなければ、伝わらないのね。

 サリーシャは息を大きく吸った。

「わたくし……、閣下のことがとても大切なのです。閣下が思っていらっしゃるよりも、ずっとずっと……閣下が大好きなのです。閣下の任務で必要ならば、わたくしはここで待ちます。けれど、約束して下さい。また戻ってきて、わたくしを抱きしめて下さると」

 セシリオが大きく目をみはった。

「それと、閣下に触れられるのは、とても安心します。だから、夜寝る前の挨拶だけではなく、もっと触れて欲しいのです。いつだって、抱きしめて欲しいのです。あとは……キスも……」

 最後はさすがに恥ずかしくなり、消え入りそうな声になってしまった。きっと顔は真っ赤になっているだろう。耳も頬も熱くなり、サリーシャはそれを隠すように両手で覆った。

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