辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
食事の手を止めたブラウナー侯爵に促され、モーリスは開封済みの封書をそのまま手渡した。
「色々書いてありますが、ようは交渉が上手くいってないようですね。昨日の話し合いでは終わらず、何日か掛かると」
「ほう。どれどれ──」
ブラウナー侯爵は封書から便箋を取り出すと、素早く内容を確認して自慢の髭を片手で撫でた。
「帰還は早くても明日か……。今日の午前中には武器の倉庫への搬入が終わるので、お代を受け取ってわたしは王都に戻ろうかと思っていたのですが……。アハマス卿が戻るまでは延期ですな」
考え込むように呟いたブラウナー侯爵に、サリーシャは待ちきれぬ様子で身を乗り出した。
「ブラウナー侯爵。わたくしも見てみても?」
「ええ、どうぞ」
ブラウナー侯爵からテーブル越しに封書を受けとると、すぐに中身を取り出した。中には確かに、交渉が決裂していること、すぐには話がまとまりそうにないこと、帰還は遅れることが書かれていた。
──セシリオ様、遅くなるのね……
「色々書いてありますが、ようは交渉が上手くいってないようですね。昨日の話し合いでは終わらず、何日か掛かると」
「ほう。どれどれ──」
ブラウナー侯爵は封書から便箋を取り出すと、素早く内容を確認して自慢の髭を片手で撫でた。
「帰還は早くても明日か……。今日の午前中には武器の倉庫への搬入が終わるので、お代を受け取ってわたしは王都に戻ろうかと思っていたのですが……。アハマス卿が戻るまでは延期ですな」
考え込むように呟いたブラウナー侯爵に、サリーシャは待ちきれぬ様子で身を乗り出した。
「ブラウナー侯爵。わたくしも見てみても?」
「ええ、どうぞ」
ブラウナー侯爵からテーブル越しに封書を受けとると、すぐに中身を取り出した。中には確かに、交渉が決裂していること、すぐには話がまとまりそうにないこと、帰還は遅れることが書かれていた。
──セシリオ様、遅くなるのね……