辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
華奢な体が崩れ落ちるのとほぼ同時に、耳をつんざくような大きな発砲音。
目の前の状況に理解が追いつかず時が止まったかのように感じた。立っていたサリーシャがへたり込む様子がスローモーションのように見え、心臓が止まったのではないかと思うような衝撃。
「サリーシャ!!」
セシリオはもう一度叫び、その場に駆け寄った。すぐに膝をついてサリーシャを抱き寄せると、彼女は僅かにまつ毛を震わせて、瑠璃色の瞳でセシリオを見上げた。そして、目が合うとその瞳はみるみるうちに涙でいっぱいになり、ハラリと頬を伝う。
セシリオは素早くサリーシャの状態を目視で確認した。撃たれたと思ったが、どこからも血は出ておらず弾は当たっていないようだ。どうやら撃たれる前に腰が抜けたらしい。
そのことには心底ホッとしたが、次に湧いてきたのは底知れぬ怒りだった。
サリーシャは恐怖のあまりにほとんど言葉が出ないのか、ボロボロと涙を溢しながら『閣下』『閣下』と掠れた声で子どものように繰り返し、セシリオの服を握ろうとしていた。しかし、それも手に力が入らないようで殆ど握れていない。
目の前の状況に理解が追いつかず時が止まったかのように感じた。立っていたサリーシャがへたり込む様子がスローモーションのように見え、心臓が止まったのではないかと思うような衝撃。
「サリーシャ!!」
セシリオはもう一度叫び、その場に駆け寄った。すぐに膝をついてサリーシャを抱き寄せると、彼女は僅かにまつ毛を震わせて、瑠璃色の瞳でセシリオを見上げた。そして、目が合うとその瞳はみるみるうちに涙でいっぱいになり、ハラリと頬を伝う。
セシリオは素早くサリーシャの状態を目視で確認した。撃たれたと思ったが、どこからも血は出ておらず弾は当たっていないようだ。どうやら撃たれる前に腰が抜けたらしい。
そのことには心底ホッとしたが、次に湧いてきたのは底知れぬ怒りだった。
サリーシャは恐怖のあまりにほとんど言葉が出ないのか、ボロボロと涙を溢しながら『閣下』『閣下』と掠れた声で子どものように繰り返し、セシリオの服を握ろうとしていた。しかし、それも手に力が入らないようで殆ど握れていない。