辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
第七話 友人
■ 第七話 友人
部屋を出るまえに、セシリオはもう一度サリーシャの方を向くと、何か言いたげに口を開きかけた。しかし、その唇は音を紡ぐことなくまた閉ざされ、くるりと体の向きを変えて部屋を出る。
なんとなくセシリオの背中に哀愁が漂っていた気がするが、気のせいだろうか。その後ろ姿を見送りながら、サリーシャは首をかしげた。
パタンとドアが閉じたのでフィリップ殿下の方を向くと、フィリップ殿下は笑いを噛み殺したような顔をしていた。パッと見は笑っていないが、よく見ると口元のあたりに力が入って歪んでいる。
「どうかされましたか?」
「いや、くくっ。サリーシャは猛獣使いの才能があったのだな。あの獅子を……」
「はい?」
「いや、何でもない」
しばらく肩を揺らしていたフィリップ殿下はようやく落ち着いてくると、サリーシャを見つめて昔のように表情を綻ばせた。
部屋を出るまえに、セシリオはもう一度サリーシャの方を向くと、何か言いたげに口を開きかけた。しかし、その唇は音を紡ぐことなくまた閉ざされ、くるりと体の向きを変えて部屋を出る。
なんとなくセシリオの背中に哀愁が漂っていた気がするが、気のせいだろうか。その後ろ姿を見送りながら、サリーシャは首をかしげた。
パタンとドアが閉じたのでフィリップ殿下の方を向くと、フィリップ殿下は笑いを噛み殺したような顔をしていた。パッと見は笑っていないが、よく見ると口元のあたりに力が入って歪んでいる。
「どうかされましたか?」
「いや、くくっ。サリーシャは猛獣使いの才能があったのだな。あの獅子を……」
「はい?」
「いや、何でもない」
しばらく肩を揺らしていたフィリップ殿下はようやく落ち着いてくると、サリーシャを見つめて昔のように表情を綻ばせた。