辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
第五章 褒賞
第一話 ウエディングドレス
■ 第五章 褒賞
■ 第一話 ウエディングドレス
アハマスの城下では一番の仕立屋の一室で、サリーシャは鏡を見ながら思い悩んでいた。鏡に映るのは純白のウェディングドレスを身に付けた自分自身の姿だ。
鎖骨部分まではしっかりとしたシルク地、そこから上の首もとはレース生地で覆われたウェディングドレスは、サリーシャの希望を的確に反映した素晴らしい出来映えだ。でも……、とサリーシャは鏡をじっと見入る。
「とってもお似合いです。ですが……大変申し上げにくいのですが、やはり少しシンプル過ぎないかと……」
後ろでサリーシャの姿を眺めていた仕立屋がおずおずとそう切り出した。すると、部屋の壁際で控えていたノーラとクラーラまで、待ってましたとばかりに身を乗り出す。
「わたくしもそう思いますわ! お美しいサリーシャ様には、もっと華やかなドレスが!」
「そうですとも。これはこれで素敵なのですが、もう少し年を召した落ち着いた方に合う気がします。若いお嬢様にはもっと華やかなものがいいですわ」
二人からもダメ出しをくらい、サリーシャはぐっと眉根を寄せてますますじっと鏡を見入った。
■ 第一話 ウエディングドレス
アハマスの城下では一番の仕立屋の一室で、サリーシャは鏡を見ながら思い悩んでいた。鏡に映るのは純白のウェディングドレスを身に付けた自分自身の姿だ。
鎖骨部分まではしっかりとしたシルク地、そこから上の首もとはレース生地で覆われたウェディングドレスは、サリーシャの希望を的確に反映した素晴らしい出来映えだ。でも……、とサリーシャは鏡をじっと見入る。
「とってもお似合いです。ですが……大変申し上げにくいのですが、やはり少しシンプル過ぎないかと……」
後ろでサリーシャの姿を眺めていた仕立屋がおずおずとそう切り出した。すると、部屋の壁際で控えていたノーラとクラーラまで、待ってましたとばかりに身を乗り出す。
「わたくしもそう思いますわ! お美しいサリーシャ様には、もっと華やかなドレスが!」
「そうですとも。これはこれで素敵なのですが、もう少し年を召した落ち着いた方に合う気がします。若いお嬢様にはもっと華やかなものがいいですわ」
二人からもダメ出しをくらい、サリーシャはぐっと眉根を寄せてますますじっと鏡を見入った。