辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「閣下? どうされましたか?」
「──それはよくない。すぐに直すんだ!」
「でも……、だいぶお金がかかってしまいそうなのです」
「金は問題ない」
「真珠を付けようかと迷ってますの」
「真珠? 百個でも千個でも好きなだけ付けろ」
「い、いえ。そんなに沢山は……」
「とにかく、ウェディングドレスを満足いくように直すんだ。ウェディングドレスは大事だ。一切の妥協を許してはならない!」
──そ、そんなに!?
サリーシャは戸惑った。セシリオがまさかこんなにウェディングドレスに妥協を許さない男だとは知らなかった。サリーシャは勝手に、男性は女性のウェディングドレスなど、たいして興味を持たないものだと思い込んでいたのだ。
もしかしたら、最初に用意してくれた数着の普段着用ドレスもセシリオのこだわりが詰まった特別なドレスなのかもしれない。そうとは知らず、今まで能天気に着てしまったことを少し申し訳なく思った。