辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「きっとその猫はすぐに剥がれますわ。わたくしのときは、うーん、一年位かかりました。エレナ様にはいいところを見せようと頑張るでしょうから……そうですわね、でも、もって二年だと思いますわ」
「あら、二年ならもうすぐだわ! そうだわ、早く猫が剥がれるように庭園でミミズを捕まえて殿下にプレゼントしてみようかしら? いい土が出来て花が綺麗に咲くので、プランターにどうぞって」
こてんと首を横にかしげるエレナは、貴族令嬢としてはなかなか型破りだ。友人夫婦はさぞかし楽しい夫婦生活をおくることになりそうだと、サリーシャは確信している。
「ところで、サリーシャ様。ドレスの色は?」
気を取り直したようにエレナに聞かれ、サリーシャは少し考え、すぐに決めた。晴れの日に着るドレスなら、この色しかないと思った。
「ヘーゼル色で、お願いします」
「ヘーゼル色? 少し、サリーシャ様には地味ではないかしら?」
「でも、セシリオ様の瞳の色なのです。せっかくの晴れの日なら、その色を着たいですわ。それに、主役であるエレナ様と同じデザインなら、臣下であるわたくしは少し地味な色の方が釣り合いが取れます」
「アハマス閣下の色? まあ、それは素敵ね! アハマス閣下は少し……、その……、怖そうでしょう? だから、瞳の色をよく見ていなかったわ」