辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
一つ目は、アハマスがブラウナー元・侯爵から買い取った武器や防具の一部を王室で買い戻すことだ。
ブラウナー元・侯爵がアハマスに売りつけた武器や防具の総額は、アハマスの年間の領地収入に匹敵するほどの額になっていた。いくらブラウナー元・侯爵が拘束されようとも、その武器や防具を依頼を受けて制作した鍛冶屋たちに罪はない。お金を支払わなければ、彼らがとばっちりを受けて路頭に迷ってしまうのだ。
しかし、ブラウナー元・侯爵の中間手数料がなくなったとしてもその総額をアハマスが支払うとなると、相当の額になる。それこそアハマスの領地経営に支障が出るレベルだ。そのため、セシリオは王室に武器や防具の買取を求めた。国に没収されたブラウナー元・侯爵の私財でも充てるべきである。
二つ目は、アハマスと王都との街道の整備だ。
アハマスと王都の間には街道があるが、お世辞にも整備された美しい道路とは言い難い。途中の回り道も多く、元々遠いアハマスが余計に遠くなっている。セシリオが王都に滅多に訪れないのも、あまりに時間がかかりすぎることが原因だった。
街道の整備は間違いなくアハマスの活性化に繋がる。しかし、途中は他領となるため、セシリオの一存では整備することができないのだ。
「これを両方やろうと思ったら、国家予算レベルの金が動くことになるぞ?」
「少なくとも武器と防具の買取はやっていただかねば困ります。アハマスが潰れてしまう」