辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

 眉根を寄せたセシリオは憮然とした表情で懐から今回購入した武器や防具の一覧表を取り出した。マスケット銃を始めとして、数えきれないほど品目が並んでいる。これらは王室からカモフラージュを要求されたから購入したものだ。フィリップ殿下はそれを一瞥すると、殆ど見ずに端に寄せた。

「分かっている。これらについては一度国で買い戻してから、一部を王都の兵に配備して残りはアハマス家以外の辺境伯達に買取をしてもらうことで話を通した。希望通り、購入分の四分の三を引き受けよう。だが、褒賞というにはやや異質ゆえ、購入の全額分を金一封として賜うこととする。手元に残った武器類は好きにしろ」
「ありがとうございます。助かります」

 セシリオはほっと息をつく。
 これで領地経営が立ち行かなくなることも、借金まみれになることも回避できる。残る四分の一の武器と防具は国からの支給品のようなものだから、アハマスの防衛のために有効に使用すればよいだけだ。

「ブラウナーも随分と沢山集めたものだ。没収した私財では到底賄いきれなかったぞ。そもそも、散財のしすぎで財産など殆どなかったがな」

 フィリップ殿下はふうっと息つく。
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